良く完走してくれた。91,355分が歴代の受験生と比べて決して多い数字ではない。けれど、今年の受験生クラスで一番考え、最後まで努力したのはUさんだった。記録し、考え行動した。ただの数字ではないよ。Uさんの成長した記録が進度表に表れている。
2年生の11月に入塾したときはどれも基礎ができてない状態だった。
映像系の予備校に通っていたけれど、基礎はガタガタ。英語も国語も偏差値40台。三科目の偏差値は進研模試で43.4だった。最後の進研模試では55.4だった。およそ1年間で偏差値12ポイント上げたことになる。模試の成績はどんどん上がっていった。最終的には学校の私立文系で2番までいったわけだからね。
みたことがあるものはあってもどれも定着していない状態だった。英語は文法。国語は古文の暗記分野を徹底的に固めることにした。高校生活を半分以上過ぎた状態で基礎がガタガタだったから、中学レベル、高校1年生レベルから英文法はやり直した。しんどかっただろうと思う。でも、基礎から固める重要性をしっかり理解してくれた。
オンラインテストも活用して2年生の間にかなり基礎は定まった。数学で得点を安定させるのは難しいのがわかっていたので、3年生になる時に数学から政経に科目を変更した。
勉強に関しては心配していなかった。Uさんは理解が早いわけではないけれど、苦手をコツコツ潰していく粘り強さや、効率を上げるために、報告・連絡・相談をしっかりできた。これはすごいことだよ。
どうすれば学習時間を使えるか考え続けた。勉強ができることよりずっと難しいことだよ。長期間で目標設定できるならUさんは勝てる。それはわかっていた。
その一方で体力面ではずっと不安が付き纏った。遅れていることを正確に認識していたからね。焦っていたのは良く知っている。
学校が国公立中心で、私大を志望しているUさんには風当たりが本当に強かったしね。模試で必要な科目を受験させないというめちゃくちゃなことをやっていた。国語だって現代文・古文で受験することがわかっているのに、現代文・古文・漢文型で受験させたりね。特に3年生の1年間はきつかったね。
こちらも志望校に追いつかせるためには、時間を捻出するしかない。体力面に不安があるから睡眠時間を確保しようとすると、内職するしかないからね。寝てる人間は怒られないで、勉強している人間が怒られるというのは納得いかない。目標に向けて自分で考えているUさんが怒られる理由はただの1つもなかったよ。
どれも大事ということは、どれも大事にしていないのと同じ。学校と受験勉強は一致するところが少なかった。多くの生徒は捨てることができない。Uさんは勇気を持って、自分がやることを選択した。
4月にはすでに疲労の兆候が見えていた。休むのは怖かったと思う。もっともっと休むべきだと声をかけて、安心させてやれたら良かった。
Uさんは、休むことの重要性もわかっていた。ただ、お家でやらなければならないこともあったしね。十分に休めない状況もあった。君はそういうことを1つも言い訳にしなかったね。これは大人でもできないよ。Uさんは大人だけどね。
私も事情は理解していた。だから、休むように言い続けた。けれどそれよりもっと不安をとることができたら良かった。それなら休めたと思う。君の能力を十分に発揮させられて上げられなくてすまなかった。
Uさんはベストを尽くした。だからこそ、私はもっともっと休むようにいうべきだったよ。
11月にはすでに体力の限界を超えていたね。机に向かうのも厳しい日々はあったね。疲れているときは別人のようになっていた。頭が働かない時はどうしてもミスはする。ミスをしたら不安にもなる。
受験まで辿り着けるかどうかもわからない時もあっただろうと思う。疲労がなくて頭が働いていたら十分立命館は届いたし、中京を落とすことはなかった。それでも、しんどい体をひきずってでも、受験の合間にできることを進めたね。このコンディションで良くやり遂げたよ。
Uさんは、自分では精神力は強くないと思っているだろうけれど、そうではない。むしろ強いんだよ。だから、自分の限界を超えてしまった。気力がある人は体力の限界を簡単に超えてしまうからね。
Uさんは、入塾から受験が終わる日まで進度表を書き続けた。1日1日の進歩はそれほどでもない。でも一週間あれば進歩したところがある。1か月あれば確実に進歩している。やれば出来るということをUさんは良く理解できたと思う。
君はすごいよ。自分は出来ないと思っていたかもしれないけど、そうではなかった。自信を持っていいよ。それがわかってくれたらこっちも必死でやった意味があるな。笑
結果は残念だけど、それは君の責任ではない。私がもっと安心させられたら良かった。
91,355分はただの数字ではない。誇りに思っているよ。一緒に踏ん張ってくれてありがとうね。
進歩や努力を実感するのは難しい。記録しかない。そうでなければ単なる過信にもなるし、不安も拭えない。最後の1秒まで可能性を上げるように考えること。考えるために記録すること。今年の受験生で一番それが出来たのはUさんだよ。
本当はもっと長いスパンで教えたかったよ。それならば体調を崩すことなく、不安になることもなく持っている力を十分発揮して入試を迎えられた。合格できたかはわからないけれど、勝負はできた。やるべきことを全て出来た状態で受験させてやりたかった。
でも、Uさんはできるベストを尽くしたね。諦めるということは、自分を見捨てることなんだよね。入塾した頃から変わろうという気持ちでここまで成長してきた。
これだけ自分を見つめて、変わろうしてきた時間が無駄であろうはずがないからね。君の前進しようとする姿勢は本当に凄いものをもっているからね。元気がないときは進度表を見直すといいよ。私はできるんだとわかるはずだから。私も今読み返してボロボロ泣いてますわ。笑
毎日Uさんの進度表をみて、今日も踏ん張ってるなと思う日々はこれで終わり。しっかり体を休めて、いい大学生活を送ってくれると嬉しいです。
自分が進歩できなくなっても、生徒が進歩ができれば踏ん張れる。Uさんにたくさん力をもらったよ。
91,355分ありがとう。Uさんが私から学んだ以上に私はUさんから学んだよ。では、また、いつか、どこかで。