速読英単語 必修編

久しぶりにテキストの紹介をします。

英語のテキストのなかで、受験生が一番長い時間使うことになるものは英単語集と言って良いでしょう。

それだけに、自分の目的にあったテキストをしっかり選びたいですね。

今回は英単語集の中で使用者が多いと思われる速読英単語を取り上げます。

出版社サイトの紹介文

難易度順に英文を掲載

 
易しい英文から始めて、無理なく入試レベルまで到達できるように配置しています(第5版からの英文の入れ替えは5本です)。さらに、10本ずつを7つのSTAGEに分けましたので一歩一歩着実に進めることが可能です。

 
最新傾向をふまえて掲載語を厳選

 
近年の入試問題のデータベースを徹底分析して、入試突破に必須の約1900語を厳選しました。これらの派生語・関連語を含めて合計約3100語を掲載。この1冊で入試に出現する単語の94%強をもれなくマスターできます。語義・派生語・関連語・語法などの情報もアップデートするとともに、必要最小限の情報に絞りました。

 
引用元:Z会ホームページより

どのようなテキストか

強化が期待できる分野

  • 英語力全般
  • リスニング
  • スピーキング(シャドーイングなどをすれば)
  • 英作(文章を覚えるまで反復すれば)
  • 語彙
  • 速読力

今となっては、英文を読んでおぼえる事は自明のものとして受験生に受け入れられていますが、速読英単語が出版された1992年には異端のテキストでした。

当時の単語集は単語と意味が一対一対応のものが圧倒的に多かったのです。

これは入試問題の質が現在と大きく異なったためです。大学受験英語が長文というより、構文を精密に把握することができるかどうかに重点が置かれていたためです。『試験にでる英単語』などが人気があった時代です。

速読英単語はその後の大学入試の長文化という流れを正確に捉えていたといえます。

コンセプトは極めて明快。文章で単語を覚える。文脈で覚えた単語は覚えやすい。言葉にすると簡単ですが、当時は衝撃を持って受け止められました。

音声教材も充実しています。音声教材はぜひ購入することを勧めます。音声教材を使わなければ、速読英単語の持つ能力をを生かせないと思います。

出版社も難しいとは思うのですが、音声もダウンロードで付属するようにすれば良いと思いますね。

速読英単語を上手く使えていない受験生は、音声教材を持っていないことがほとんどですから。

特に独学の受験生、学校でリスニングがなかなか強化しにくい受験生には良いテキストです。

速読英単語必修編をマスターすれば、この先長文の読み込みが出来るだけの基本語彙も身につきます。また、音読、シャドーイングを繰り返すことで、スピードの向上も期待できます。

なかなか受験生の皆さんは気づかないかもしれませんが、英文の配列も考えつくされています。特に動詞が考えられている。

使用頻度が高い動詞を前半にかなり並べてあるので、読み進めても負担感は少ない。重要な単語は前から出て、反復出来るように設計されています。

構文的にも複雑なものは最初に置かないように配列されています。

すこし難しいだろうと思われる箇所や文法的な補足が必要と思われる点は別冊で補足解説が加えられています。(第5版)。

第6版では、Z会のウェブサイトでは「読解アシスト」と言うかたちに変わりました。ここで、重要な文法事項、構造について解説されています。

改訂第6版は改訂第5版の395ページ+別冊70ページに比べて383ページとコンパクトになっていますが、読解アシストは旧版の別冊に更に解説を加え、問題まで加わっています。

実質ボリュームは増えているといえます。

個人的には改訂第5版が、もっとも完成度が高かったと思いますが、コンパクトに持ち運べる利便性をとったのでしょう。

受験生の皆さんは、かならずZ会のホームページで確認してください。スマホにPDFファイルをダウンロードすれば学習の助けになります。これはぜひ使ってもらいたいです。

また、接頭語・接尾語などの知識を使って単語を類推させる問題は上位大学では多く出題されます。

第5版では速読英単語は接頭語、接尾語の知識を一箇所に集中することなくバランス良く配置されていました。

第6版ではさらにコンパクトに巻末にまとめなおしてあります。使いやすさでいえば、第6版でしょうか。

覚えるための工夫としては更に、チャンク化(覚えやすいように塊にすることです)して「まとめてチェック」という形で単語も整理されています。

英語で一番むずかしいのはSVOCと言われます。速読英単語は第5文型を細心の注意で全体に配置しています。英文ページより、単語ページにSVOCの文型をとる例文を多く配置してあります。

英文ページを読む時の負担は少なく。単語を覚えるときは短い文で。文型を意識させる工夫がされています。

単語集の一つの究極な形と言って良いと思います。改訂版が出るごとに、使いやすくなっている。

第6版では『速単教室』というアプリも作られ、重要ポイントの動画も。600円の課金で解説動画をみられます。これは破格でしょう。

学習塾、予備校に通っていない独学の生徒には強力な学習支援となるでしょう。時代にあわせてなお進化を続ける単語集です。

多くの単語集がこの20年に作られ、消えていきました。

速読英単語はこの20年間、英単語集の王者であったと言えます。後続の英単語集は、速読英単語を一つのメルクマールとして作られています。

もう一つの王者は、『システム英単語』です。

コンセプトは異なりますが、どちらも極めて強力な単語集です。

速読英単語に死角はないのか?

あります。

およそ単語集としては覚えるための工夫、英語4技能をバランス良く鍛えると言う意味では今でもなお最高レベルのテキストとです。費用対効果は、英語テキストでは最高クラスです。

言語習得は、コンテクストを無視しては行われません。様々な文を読むことで、コンテクストを含めて単語を覚える。情報量が非常に多いテキストです。

速読英単語はその特徴故に、短時間で習得は不可能と言って良いです。

このテキストをしっかりマスターしようとしたら、数カ月はかかります。音読、文型把握、訳出の訓練までしたら3ヶ月でも終わるのは難しい。はじめから派生語まで覚えようとしたらさらに数ヶ月必要になるでしょう。

コンテクストを読み取るだけの文法力、語彙、最低限の文型把握能力が出来ていない受験生には使いこなすことが難しいのですね。

その場合は、『Duoselect』『ターゲット1400』といった基本的な単語集をマスターしたあとに使うことが勧められます。

また、『英文法レベル別3』などセンターレベル程度の文法がわからないと、解説をみても使いこなせないでしょう。

そして、文型に配慮して作られているにもかかわらず、文型についての解説はそれほどない。もちろん、速読英単語は長文読解の基礎をピックアップしたと筆者が述べています。当然、文型把握はできるのが前提になっています。

動画や別冊解説で補足してありますが、基本的な文法用語、文型把握を理解していない高校一年生ではなかなか使いこなせないでしょう。

しかし、これは言いがかりですね。

速読英単語は文法をマスターしている前提で、長文読解の基礎を固める為に作られているのですから。

「読解アシスト」を作ってまで、文章の理解を出来るようにしてあるのは、筆者の強い意志を感じます。

一通り英文法は学習しているが、長文を読むには力不足を感じる。そういった受験生には強固な基礎力をつけてくれるテキストです。文法、品詞、文型がわかっていれば、これほど一冊で多くのことが学べるテキストはないでしょう。

長文対策は、速読英単語をマスターした後に別のテキストを使えばよいのです。

さらに語彙が必要とされる大学であれば、それこそもう一つの単語集の雄である『システム英単語』『単語王』などをつかうのも良いと思います。いずれにせよ、速読英単語で学んだ基礎は、他のテキストの学習を円滑に進めるのに役に立ちます。

高校一年生であれば、『速読英単語入門編』のほうが使いやすいはずです。

必修編の評価に比べると、入門編の評価は高くないようですが、高校一年生であれば、必修編よりむしろ入門編で基本単語を固めたほうが効率は良いでしょう。

入門編は、このレベルで短文ではなく文章になっているというのは、革命的です。

英文法の学習と併用しながら、英文を読み込んで単語を定着させるテキストは、ほぼ、速読英単語入門編しかないと言っていいと思います。

音声教材がないものならいくつかあるのですが、英語4技能が今後受験で重要になることを考えると、私は速読英単語入門編を勧めます。

いずれにせよ、速読英単語は時間が要求されるテキストですが、正しく使えばあなたの英語力を大きく伸ばしてくれるはずです。

まとめ

  • 英語力全般をバランス良く伸ばすことが出来る
  • 覚えるための工夫が随所に散りばめられている
  • 音声教材は必須
  • 全くの初学者向きではない。最低限の文法、文型知識は必要。
  • 腰をすえて学ぶべきテキスト。得られる効果を考えれば、使う時間に充分見合ったテキスト

いやはや長くなりました。でも、これで終わりじゃないんですよね。

テキストを紹介して効果的な学習法を述べないのは片手落ちなので、使い方についても説明します。使いこなすには時間がかかりますが、独学の生徒、学習塾・予備校に通うことが難しい生徒は、速読英単語を軸にして学習を進めることを勧めます。

使い方の記事も書きました。

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