センター試験を滑り止めの私立に使うことは安全なのか?

保護者の方から、このような質問を受けました。

多くの学校で、センター試験を滑り止めに使えばいいと指導されることが多いですね。

ですが、本当にセンター試験が滑り止めに使えるかと言ったら、必ずしもそうではないです。

受験パターンも生徒一人ひとりの得意、苦手なことも把握し、出題範囲をみていく必要があると考えています。そして、リスク許容度の違いも大事ですね。

返答

お世話になっております。

はい。センターで滑りどめというのはなかなか難しいんですね。私立文系の場合は漢文が出題範囲に含まれるがあることと、現代文に文学的文章が含まれることがあります。

また、英語にもリスニングを含んだものが多いんですね。とくに、リスニングの負担は大きいです。そして、政経もセンターは傾向が違います。そのため、対策が必要になるんですね。

センターを受けるメリットがあるとしたら、試験慣れができるくらいです。日大の受験もできると聞いておりますので、そちらでいいかと思っております。

Sくんは私大型で訓練していて、特に、知識依存度が高いものは確実に取ります。

更に試験慣れというのなら、私はSくんが得意な形式の出題形式である専修大学が負担が少ないと思っています。対策する必要がないですし。

メリットをあげます。

  1. 英語が文法、イディオムなどの配点が高い。
  2. 国語の現代文が小説は出題されない。評論である。漢字、慣用表現など知識依存度が高いものが出題される。古典も古文単語、文法でSくんにとって対応しやすい形式である。
  3. 政経が客観式で記述は出ない。今時点で青学の政経、優にボーダーライン超えているSくんにとっては特に対応する必要はない。私大の形式で慣れている。
  4. 政経はその年のトレンドがあるので、それをつかみやすい。

こういうところですね。

Sくん、慎重にやるので政経は時間がかかりましたが、きっちりとってます。
国語に関しては、漢字などの語彙の強化も進み、古文は文法が明日には終わり、読解に入っていきます。
英語は量をこなそうということで、オンラインテストのランダム出題形式で現在1700問といて、73%の得点率。
文法・語法・イディオムに関してはかなりみたことがあるという状態を作れました。

政経でかなりのリードを奪えたので、9月からは古典をどれくらいのばせるかですね。ここ、数日ちょっと疲れが出ているようなので心配しています。もともと睡眠時間が少ないので、ご家庭では休むように声をかけてあげてください。

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パスナビより引用

人によって受験パターンは違う 私立を併願するときは出題範囲を考える。

3科目とはいえ、82%のボーダーラインは滑り止めに気軽に使える点数ではないですね。

進路指導もセンターで点数を取れば大丈夫ということを学校で言われたという生徒が多いんです。

確かに嘘は言ってないですね。でも、それは親切じゃないですね。

私立文系の受験生は、そもそも文学的文章(小説)をやらない生徒が多いです。

だって、小説が出題される私立大学は一部ですからね…

そして、英語もリスニングは外国語学部系統以外では課されるところは少ないです。

それが配点に入ってくることを考えると、対策をせずに得点を伸ばすことは難しい。リスニングで80%を取ろうとしたら、それなりに対策は必要ですよ。

リスニングやらずに筆記でカバーするなら180点以上取らなければならないとなったら、センターの対策をかなりやる必要がありますね。

私大志望ならそこまでセンターの対策をするなら、志望校の対策をしたほうが合格可能性は上がります。ただでさえ時間は足りないわけですから。

センター試験を失敗した時のリスクを考える必要がある

確かに、センター試験で私立の滑り止めを合格できたら楽ですよね。

ですが、センター試験を失敗したことを考えたことはありますか?

国公立大学を志望する受験生の多くは夏に脱落します。

なんとかそこを切り抜けても、センター試験で失敗する生徒は多い。

では、失敗した場合の典型的な例をあげましょう。

センター試験で私立の滑り止めを通るように学習計画を立てていた受験生はどうなるか。

まず、国立大学は難しくなります。当然ですね。それだけじゃない。私大も難しいですよ。

1/19にセンター試験が終わりますね。センター型の私大はもう絶望的です。

パスナビより引用

はい。これは立命館大学の法学部です。7科目で79%で、3科目でも86%です。

ノザキ塾のある鈴鹿だと、三重大学を志望する受験生が多いんですけど、三重大のレベルより当たり前ですが遥かに立命館大学の方が難しいです。これは三重大学の人文学部のボーダーラインです。

パスナビより引用

まあ、こんな受験パターンにする受験生、いないって思いますよね…

でも、こういう生徒今までに何人もみたことがあります。

そうやって浪人してくるわけです。

センター試験で失敗したら取り戻すのは絶望的

当たり前ですが、1/19にセンター試験が終わったとします。私大まであとどれくらいありますか?

例に上げた立命館大学なら2週間ないですね。全学部統一は2/1です。関西や東海は受験が1月に始まる所も多いですね。

慌てて、本屋やネットで赤本を買おうとします。売り切れてることが多いですよ。

センター試験で、失敗した。しかも、十分な過去問演習は出来ない。メンタルがボロボロの中切り替えて合格するのは難しい。浪人になるパターンの多くはこれです。

私大用に勉強してきた受験生と、センターと国立2次試験に向けて勉強してきた生徒では、全く習熟度が異なります。

特に、私大の英語はスピードも要求されますし、国立2次試験で要求される能力とはまた別なんですね。

多くの国立大学の場合、二次試験に社会がないところも多いですよね。

それで私立文系の3科目で社会を訓練してきた受験生と勝負するのは難しい。

センター試験レベルと私大の社会のレベル、過去問を解いてたら難易度の差があることはわかりますよね。

当たり前ですが、それを専門に訓練してきた人と訓練していない人では非常に差があります。

だから、過去問を解く必要があるし、学習計画の段階でもセンター試験だけに頼らない計画を立てる必要があると思います。

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今年はもっと厳しい 高まる安全志向

で、今年はもっともっと厳しいです。

受験制度が変わります。来年が大混乱になることはわかっていますが、今年にも影響はあります。

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センター試験がなくなるということは、もう、浪人しても今までの対策が通用するかどうかはわからないわけです。

既に、今年は国公立受験生で私大の一般推薦を使う人が例年より増えています。当然ですよね。

来年からの新テストはデータがないわけですから、ボーダーラインだって見えにくい。

浪人しても成功するかどうかわからないのだから、確実に現役で進学しようとする人は増えます。

安全志向は高まりますね。

どうなるか。

推薦の難化は当然として、センター試験利用の私大も難化することは容易に予想されますね。

学力上位の受験生がセンターで確実に合格しようとする範囲を広げる。滑り止めの対象が広くなることが予想されますね。

まとめ

センター試験を使って、私大の滑り止めを考えることは決して悪くない。

でも、失敗した時のリスクを考えていないと大変なことになります。

センター試験で得点するためにも当然対策は必要なわけで、私立文系の場合は思わぬ負担になる場合も多い。それなら一般受験のほうが負担は少ないことも多い。

これも一人ひとりの学力によっても違いますね。同じわけがない。

センターで取れる!といって突き進むのもありですが、来年成功することは保証できない。

私は生徒に「浪人できる?」と聞くんですね。リスク許容度によっても学習計画も違います。

浪人できないなら、当然私大の一般受験の対策はするべきです。いくらなんでもそのリスクを説明しないのは、誠実でない思います。

一般推薦入試もリスクがあります。

思った以上に時間を取られますよ。

推薦入試失敗した後、一般入試に向けて遅れた分を取り戻すのは思っているほど簡単ではないですよ。

安全志向が高まっている中、いままでと同じ形で合格できると考えるのは楽観が過ぎます。

このことについてはまた記事を書こうと思います。

ノザキ塾