早稲田大学に合格したSさんの学習計画 1年生時点の英語の学習計画
前回は早稲田大学に合格したSさんの学習計画を立てる際に、志望校を配点から分析しました。
特に早稲田大学は、社会の配点が高い大学でしたね。
そして社会は選択する科目によって、受験の難易度が変わることを確認しました。
覚える量が少ないために、完成まで短時間で済むこと。その結果、配点の高い英語に時間を回すことが出来るのでしたね。
短時間で得点を上げられそうな分野から手をつけていくのが基本です。
では、残りの英語と国語から考えていきましょう。
英語を優先しない理由
配点を考えれば、英語を優先。そう言いたいところなのですが、Sさんの場合は国語を優先して完成させることにしました。
ノザキ塾で指導する場合、私立文系の生徒で、志望が決まっていない場合や、偏差値が志望校まで遠い場合は、政経が使えるなら政経が最優先、次に国語、最後に英語を優先した学習計画を立てます。
なぜか?
それは早稲田の英語を分析すればわかります。
早稲田の英語は長文が多いのはみなさん分析すればわかると思います。それなら長文を強化すればよいとなりそうなものですが、そうはなりません。1年生でいきなり長文ができるわけもありません。語彙力の強化も時間がかかります。そして長文を読むのに文法は不可欠ですね。
法学部などの超長文といわれる長さに対応するためにも相当量の読み込みが必要とされます。
できれば長文には1年以上の読み込み期間を設けたい。
過去問演習がもっとも効果があるので、3年生になった時点で過去問を解けるようにしたい。
一年の読み込みを設けるなら、一年生で強化したいのはは、文法・語法・語彙。二年生が長文強化の期間と考える。
更に分析を続けましょう。
では、早稲田でよく出題される会話問題はどうでしょうか。
会話問題は定形表現で得点できることが多い分野ですが、早稲田の出題形式は会話問題の形を取っていますが、実質的には読解問題です。
ということは、これも短期間で対応できる可能性は低い。これは過去問演習で強化することとする。
正誤問題はどうでしょうか。正誤問題はただでさえ難しいわけです。そのうえ、早稲田は出題形式をひねっているのです。
次の1~10のうち,誤った英語表現を含んだ部分がある場合にはa~dから誤りを1つ選び,誤りがない場合にはeを選んでマーク解答用紙にマークせよ。
2013早稲田大学社会科学部の英語より
あやふやな知識で間違っているだろうところをマークしても正解になる可能性は低い。
文法、語法、語彙の知識に加えて、文型の識別など高いレベルでの英語の力が要求されます。
読解問題に比べれば知識依存度は高いものの、文法が当然全範囲終わっていなければ演習しても効果は得られない。
また、時間制限が早稲田はタイトなため、知識依存度が高い正誤問題は短時間で解けないと間に合わない。
ノザキ塾では正誤問題は平均60秒で解けるように訓練します。
長文を正確に読んでなおかつ精度を維持しようとするとどうしても長文以外のところで時間を短縮する訓練が必要となりますね。
だから、徹底した文法・語法の訓練が必要になるのです。同じテキストを反復するだけではなく、問題を多く解いて、判断を磨く必要があるのです。
英語で何を優先するか。
知識依存度が高い文法の対策です。語彙の対策も同時に行いたいと考えました。
Sさんの場合、政経を使える大学なら中央大学、明治大学というところが併願校になります。
そして、中央大学は比較的英文法など知識依存度が高い問題が多く出題される傾向があります。
長文は訓練しても確実に取れるとは言えませんが、文法、語彙、語法などは訓練すればするほど得点は安定しやすくなります。
その為、文法、語法、語彙を重要視しました。中央大学では正誤問題も出題されるため、文法の重要度は他の大学を志願する生徒より高くなります。
語彙に関しては学校で配布された『システム英単語』で強化することを考えましたが、3年生まで同じ範囲を反復しないため、ペースメーカーとして使うことは難しい。
『システム英単語』も良いテキストなのですが、最優先事項である文法を固めるのに有効なテキストではありませんでした。
『システム英単語』は、文法がある程度終わって、読解の訓練に入った時に強みがあるテキストです。
そして、早稲田や中央大学で文型把握が重要になる以上例文が豊富なテキストを選択したい。
この条件を満たしたのは『コロケーションで覚える英単語』でした。
そして、品詞が複数ある単語は読解、文法では特に重要です。
正誤問題に対応するためには品詞、文型の意識をつける必要があります。ですので普段からの語彙の強化でも行いたいと思いました。
音声教材もダウンロードできることはメリットでした。電車通学だったSさんに使いやすかったことも選定の理由の一つです。ただし、はじめから単語集は使用していません。
Sさんは高校一年生であるため、英文法は学校での学習が中心になります。一年生の目標は、文法・語法・語彙の強化、文型が完全にわけられることです。
初めに品詞意識、文法意識を徹底的に身につける必要があるので、これはこちらの授業で訓練しました。
文型をすべてわけられるようになることを特に重視しました。長文読解、正誤問題で間違いを見つけるには、正確な文型把握が必要なためです。文法の中でももっとも重要なのは文型把握です。
そして、できるだけ早い段階で英文法全体を見渡せる必要があります。
英文法が終わっていない段階で文章を読むのは不可能です。
とくにSさんの通っていた四日市高校はとても処理できないような量、難易度の読解の宿題が出ていました。取捨選択することが絶対に必要でした。
文法を完成せずに学校の課題に取り組むと、ただ辞書を引く練習になってしまいました。疲れるのは目と指だけ。
厳しいようですが、疲労感を勉強した感覚と誤解するだけになってしまいますよね。
Sさんの強みは捨てることが出来たこと。多くの受験生は優先順位を明確にせず、どれもこれも中途半端に手を出して失敗することがいかに多いことか。
そのため、英語は文法・語法・語彙の強化だけに絞りました。どんなに有効なテキスト、どんなに有効な授業であっても、その人それぞれのニーズをみたさないものは、時間の浪費です。学習計画が個別に必要な理由はここにあります。
そして、それぞれのニーズをわかるのは、受験生のみなさんだけです。
英文法に関しては、こちらで動画が作ってあったので、Sさんに先行して英文法は学習してもらう予定を立てました。今後学習していく上で、自分がどの文法項目が弱いかわかるようにするためです。
理屈を理解するだけなら、1週間あれば文法全体を俯瞰することは可能です。
学校では『ブレイクスルー』を文法のテキストとしていました。ただ、いかんせん量が足りない。
学校で『ブレイクスルー』の問題集があったので、演習に関してはブレイクスルーの問題集に加えて、『スクラブル基礎英語総合問題演習』→現在の『スクランブル英文法・語法Basic』『UPGRADE』『スクランブル英文法・語法3rd edition』→現在の『スクラブル英文法・語法4th edition』→『Next Stage英文法・語法問題―入試英語頻出ポイント218の征服 』の順番でやることにしました。これはレベル別の順番です。
基礎となるのは、英文法、それと語彙。英文法のなかでももっとも重要なのは文型把握。そのため、まず、各テキストの動詞、動詞の語法部分をやっていきました。文法をただ、頭からみていったわけではありません。
使い方は文型を分け、語順訳を作る。答えはテキストに書き込み、チェックシートで答えを書き込みました。かならず日付をつけて、メンテナンスする時の目安としました。
なぜ単語集をつかわなかったか。
文型を把握する唯一の要素は動詞です。そのため、何をおいても重要動詞を覚える必要があったわけです。
文法問題で問われる単語と、長文問題で問われる単語は必ずしも同じではありません。
短い文で正解を判定させる必要がある文法問題で問われる単語とあるテーマにそって筆者が論を展開する長文では、当然単語の質は違いますね。
そのため、文法問題でわからない単語を片っ端から覚えてもらいました。文法を一通りやっているので、Sさんは単語がわかれば訳せる状態になっていました。
文法問題をやっているのに、文法が取れないという生徒の多くは、文法問題中の単語を覚える必要性を認識していません。
例えば、未だに英文法の中でもっとも問われる文法事項である、「時・条件を表す副詞節は未来のことを現在時制で表す」というルールはまず副詞節を認識できないと出来ません。
つまり、文型を理解しないと出来ないのです。文法問題で問われる単語がどの文型をとるか覚えないと、間違えてしまうということですね。
そのため、まずは動詞語法を終わらせるまでは、上記のテキストの動詞の語法を徹底的に潰して単語を覚えてもらいました。
それから、『コロケーションでおぼえる英単語』を導入していきました。
文法をマスターするためのテキストの使い方
前述したように、Sさんの学校では『ブレイクスルー』を使っていました。その進度に合わせて、『スクラブル基礎英語総合問題演習』→現在の『スクランブル英文法・語法Basic』『UPGRADE』『スクランブル英文法・語法3rd edition』→現在の『スクラブル英文法・語法4th edition』→『Next Stage英文法・語法問題―入試英語頻出ポイント218の征服 』の順番で潰していきました。
学校で、不定詞をやったら、まずは『スクラブル基礎英語総合問題演習』を解いて、次に『UPGRADE』というように、同一範囲を4つのテキストで訓練しました。このように大量に文法問題を解くことで、問題を正確に素早く解く訓練をしていったのです。
文法・語法・イディオムは大量に演習しないと覚えられません。一冊で覚えるのではなく、解きながら覚えるという意識のほうが受験生の皆さんには負担感が少ないと思います。
まとめ
長くなりました。英語は学習計画の中で最優先ではありませんでした。政経、国語、英語の順番で強化する。英語のやらねばならない量が莫大なためです。
英語をやる場合の最優先事項は文法・語彙と言った基礎。そして、文法のなかでも最優先は文型意識。
文型を決定するのは動詞。そのため、テキストでまずは動詞の語法を徹底的に潰しました。文法で良く聞かれる単語を覚えれば覚えるほど、文法を進めるのは容易になります。
その後に単語集を導入すれば、文型が分けられる状態になっているため効率よく英語を学ぶことが出来る。
学校の授業でやったことをベースに、厚みを付ける形で問題集を使う。不定詞なら不定詞を、レベルの低い問題集からレベルの高い問題集を解くように演習していく。
優先順位は国語の方が高いのですが、英語の解説になってしまいましたね。Sさんは実際には古文→政経→英語の順番で勉強しています。そのやり方もまた説明していきます。高校一年生で早稲田大学を目指す生徒なら、比較的汎用性があるとおもいますので。
Sさんの使える時間について分析する記事もつくりますが、先に国語の分析をするかは考えてみますね。