急に寒くなりましたね。この時期になると、体調を崩す受験生も多く、毎日落ち着かない日々を過ごしています。
受験生のあなたはどのように過ごしていますか。
予備校の自習室ですか。図書館ですか。学校帰りの電車でこのサイトを見ているかもしれませんね。
この時期は体力的にも厳しいね。焦るだろうけれど、しっかり記録をとって、最後の1秒まで合格の可能性をあげるように、自分を冷静に見つめようね。
ふんばろうね。
早稲田大学に合格したSさんの学習計画 高校二年生の学習計画を実行するために考えたこと
さて、またSさんの学習計画について話します。1年生時点の目的は英語は文法を固めること。国語は古文を固めること。政経については全体像を掴んだ後は過去問演習中心で厚みをつけることでしたね。
高校一年生は基礎固め。
志望校に合格するためには、大量の過去問演習が必要です。そのための基礎固めですね。
政経に関しては、高校一年生で過去問演習に入れる体制が作れた。
二年生の目的は、国語が過去問演習に入れること。英語に関しては長文の読み込みができること。政経に関しては、更に過去問演習を行うことと、知識に厚みをつけることを目標にしました。
具体的には高校二年生の最後に、併願校である中央大学の演習をして合格点に到達することを目標にしました。国語、政経で得点できれば、英語は得点率50%なくてもトータルで合格最低点には到達するためです。
高校三年生では早稲田の過去問演習中心で、演習後、強化するところを決めて訓練するというのがSさんの三年間の大まかなプランです。
なぜ大まかなプランなのか
状況は変わるからです。
学習計画における究極的な目標は一つだけです。志望校の合格ですね。
一年間という長期間の計画では、さきほど位のざっくりした目的で充分です。
実際、過去問演習をするために、何をしていかなければいけないか考えて、そのテキストをどの順番でやるかを考え、全体のバランスを考えた上で計画に少しずつ落とし込んでいくわけです。
どのテキストをマスターすれば、どのくらいのレベルになるかはまた説明します。ここまでマスターすれば、およそ偏差値がどれくらいに到達するか、どれくらいの大学に対応できるかという目安はあるのです。
ただ、優先順位は変わります。
学校の授業が活用できるのであれば、テキストは不要になるかもしれないし、予定より定着度が低かったら、そこを強化することになりますね。状況はどんどん変わります。
学力が一次関数のようにのびるなんてことはないです。
体調、周りの環境の変化など、受験生一人ひとりの課題は変化します。計画を立てるとしたら、一年の大きな目標、その次は一ヶ月の目標くらいでしょう。数ヶ月単位の計画はほとんど失敗しますね。時間が読めない。一ヶ月なら比較的誤差が少ない計画が立てられます。
予定は狂った
高校一年生の間は勉強時間は少なくとも、効率よく進められたSさんですが、高校二年生は予想より学習時間を確保できませんでした。
一番の原因は病気でした。
二番目の原因は学校での再試などです。
病気はしかたありません。Sさんが本来のリズムを取り戻すまでは一年近くの時間がかかりました。
学校での再試験は厳しかった。3科目の受験と決めているSさんにとっては、数学は最低限の得点をとれば良い科目です。
受験にとっては重要な科目ではないということですね。
その重要でない科目で、再試験やさらに課題の提出を求められたことで、さらに時間を削られました。
「このままでは卒業できない」など学校からも何度も言われて、Sさんは精神的にも厳しかったと思います。
踏ん張ったね。Sさん。思い出しても涙が出そうです。
どう対処したか
まず、無理をさせないことを徹底しました。
学習時間が確保できない場合は、時間単位あたりの効率を高めるしかない。そのため、睡眠と体調を優先しました。
学習計画は、毎日安定して勉強しないと、上手くいくのは難しいからです。
勉強より休むことを優先。
高校一年生である程度リードを奪ったので、二年生は立て直す時期と考えました。
通常は一年間で何とかしているので(Sさんは私としては珍しく、高校一年生からみた生徒です。私は通常、高校三年生か、浪人生しか引き受けないので。)、体調が戻ればなんとか出来る見込みはありました。
優先順位を毎日変更した
本来は、学習計画を立てたら、同じ勉強時間や同じやり方で進めるのが理想です。
ですが、Sさんは体力が以前ほどなく、集中できる時間も限られていました。
学校でのストレスも大きく、勉強に入る前にその日のあったことの話を聞いて、気持ちを落ち着かせてから勉強してもらいました。
気持ちが落ち着いていない状態で勉強は出来ませんからね。体調が比較的良いときには重いものをするように、体調が悪いときには休むように。
一日一日の状態でバランスを取りました。読めばよいだけのものは、進めることも出来ますしね。結果的に国語と政経の厚みはつけられました。
そ本来なら3科目バランス良く毎日学習したほうが効率は良いのですが、(復習を考えればわかりますね。復習については「復習はなぜ必要か?」「復習についてのアイデア」などを御覧ください)Sさんの今の体調、体力では厳しい。
そのため、3教科バランス良く進めることを捨てました。調子がよく進められる科目を中心に学習を進めたわけです。
苦しいときほど、前進している感覚は必要です。そのため、英語の調子が良いときには英語を、国語の調子が良いときには国語と言う形で学習を進めました。
受験までにやらなければいけないことはわかっているわけですから、どこから先にすすめるかだけということですね。
全てにおいてのベストは無理だとしても、その人の置かれた状況で出来るベストを尽くすことは出来ます。
捨てることを徹底した
Sさんに勉強のことで注意したことは殆どないのですが、一度だけ注意したことがあります。
普段から、一点でも得点を上げるために、問題を解くことを考え、テクニックを磨いてきたわけです。
中央大学の国語の過去問を初めて解いた時に、Sさんは、選択式の問題で答えを書かなかった。
マークの問題なら、わからないところであっても、解答することで得点できる可能性はあるわけです。記述式ではないわけですからね。
全体の得点を上げるために、正確に設問分析して、とれるところから取っていく。早く得点を確保できるところから解くように徹底的に教えてきたわけですが、最初の過去問演習ではSさんはできなかった。
Sさんは、「本番なら出来る」と言いましたが、私は「練習でできない人は本番では出来ない」と言いました。
本当にこれ、出来ない受験生が多いんです。捨てるところを捨てて、出来るところを取りに行くこと。ある程度出来るようになればなるほど深追いする。
目標は合格点をとることです。総合点を上げることで、大問一つを完璧に解くことが目標ではないです。時間を掛ければ、Sさんはとれた。欲張ったわけですね。それは失敗する典型的なパターンです。
私は生徒がわからないことで注意したことはないです。
わからないものを注意しても、出来るようにはならない。時間の無駄ですね。生徒も萎縮しますし、私も疲れます。
いずれ出来るようにすればよいわけですよね。それは私の仕事です。生徒の責任ではない。
私が注意するのは、出来るところを確実にとることを怠ることや、確率を上げるためにやれることをやらないことです。
ここが大きな転機でした。Sさんが合格できたのは、捨てることが出来たことです。
Sさんより知識量が多い受験生はいたと思いますが、Sさんほど捨てる技術が高かった生徒はほとんどいないです。
Sさんに、「全部が大事ということは、どれも大事じゃないということ」と繰り返しました。
捨てることが出来ない人は優先順位をつけられない。
入試という異常な空間で実力を発揮するためには、一定のやり方が必要になります。それが設問分析して、解いていくやり方ですね。
捨てることがどれほど重要なのか。私のところで、合格していった生徒の共通点は、みな、捨てることがうまい生徒です。捨てることは勇気がいりますからね。演習しないと身につきにくい技術でもあります。
まとめ
Sさんの高校二年生は、当初の計画通り進みませんでした。
- 大まかなプランはあったので、状況に応じて優先順位を変えた。
- 体調を優先し、進めやすい科目を進めた。
- 捨てる意識を徹底した。
しかし、高校三年生は高校二年生よりさらに激動の時期となることを私もSさんも知りませんでした。
次はSさんの二年生時の各科目の学習計画について書きますかね。それともテキストについて書きますかね。テキスト選びや勉強のポイントになる、特異性の原則について書きましょうかね。
一年で早稲田に合格したJ君や、同じく捨てることについての達人だったY君などについても、学習計画では参考になると思うので書きたいのですが、Sさんの記事を書くだけでもかなり時間がかかりますね。やっと記事も20本目。いずれ、SさんはSさんでまとめたいと思います。
追記:「はじめての学習計画」からの転載ですので、もう20本以上記事がありますね。
こちらもよろしかったらどうぞ。