部活がどれくらい受験勉強に影響を及ぼすかはこれまで何回に分けて語ってきました。
今回は、ともに部活があって、ともに中央大学経済学部に合格した二人の生徒をとりあげ、部活の終了時期がどれくらい受験に影響したか見てみようと思います。
I.S君は1年浪人したわけですが、最大の違いは部活が終わった時期だと考えています。ふたりとも記録をしっかりして、自己管理ができる受験生でした。まずは、模試から見ていきます。
I.R君は第一回の記述模試の第一回の全統記述模試から文系では偏差値50.2から62.7へ12.5アップ。
国語は偏差値46.2から69.1に22.9アップ
政経は偏差値51.1から69.0へ18.9アップ。
偏差値20以上、上がっている科目もありますね。I.R君は高2の終わりには受験勉強の準備を進めていて、3年時点では部活の負担は殆どなかった。
8月の学習時間、15,197分です。夏までにある程度基礎を固め終えることが出来て、勉強する体力もついていた。勉強してもはじめは長時間勉強できないし、効率が悪い。8月に入ってから猛勉強しても殆どは間に合いません。皆、夏は勉強しますし、勉強しない生徒は間に合わない。
I.S君は第2回の模試は台風で受験できなかったので第3回の模試の成績ですが、総合では偏差値48.9から偏差値56.4の7.5ポイントアップ。
第1回の全統記述模試の国語の偏差値36.7から55.7に偏差値19アップ。政経は偏差値57.5から偏差値67.3の9.2アップ。
これでも充分すごい数値ですけれどもね。
I.S君は指導が始まったのは実質高校3年生の7月。部活は7月いっぱいまであった。そこから実質的に2ヶ月でこれだけ力をつけたのは凄いことですけど、時間はやはり足りない。
教えていて、I.RくんとI.Sくんに大きな力の差は感じませんでした。ふたりとも共通していたのは、I.RくんもI.Sくんも記録は徹底していたことです。一番大きかったのは開始時期です。
基礎に関しては、受験直前では、I.RくんもI.Sくんも同じくらいの定着度合いだった。大きな違いは、進められたテキストの違いもありますが、過去問演習の量だった。
時間配分、どのような出題形式だから、何を強化していけばいいのか。これは過去問を解かないと身に付けることはできません。
過去問演習を学習計画を立てる際にも解く必要ありますが、コンスタントに演習して弱点を強化するにはある程度のベースがないといけない。I.R君は国語に関しては9月。政経は8月。英語は11月には過去問演習に入れる状態だった。
I.S君は国語に関しては12月、政経は11月。英語に関しては、演習をコンスタントにするのは難しいと判断した。国語、政経で得点をとって、英語に関しては出題形式の確認中心や、外部検定を使う受験で勝負することになった。
I.S君が4月から来ていて、部活をしていなかったら現役で合格できていた可能性は高い。
I.S君ほど自己管理をしっかりできる生徒でも、夏からだと難しかった。時間あたりの効率ではI.Rくんより、I.S君のほうが高かったんですよ。
最後に受験までの勉強時間を載せておきます。部活を継続してうまくいくことは本当に難しい。
受験ということだけを考えるなら、やめるほうがうまくいく可能性が向上するということは言っておきます。大体、両立ってほとんど出来ないからね。うまく言ったごく少数の運が良かった人を参考にするべきではないと考えています。
I.S君は受験の最後には無理せざるを得なかった。本当にね。時間がないとこれだけ計画して綿密にやっていても体調を維持するのも難しくなるんです。
受験は厳しい。本当にいつもそう思います。