162,460分。
I.S君が受験が終わるまでの勉強時間です。本当に大変だった。大変だったという一言で表せないくらい苦しい時間だったね。
I.Sくんからはお母さんからの問い合わせがあった。部活もあったので夏以降から本格的に勉強スタートと時間も限られている中のスタートだった。
現役生のときはどうしても時間が足りなかった。英語に時間を使えば伸びることはわかっていたけれど、受験には時間制限がある。総合得点を考えると、習得コストが低い政経、国語を伸ばして勝負することが残された時間では勝算が高いと考えた。
I.S君は計画に関して、納得行くまでしつこく質問したよね。笑
細かい男だからな。君は。笑
納得がいけば粛々と進めてくれた。速度に関しては問題はあったものの、丁寧にやっていけばいずれは速度はあがるもの。丁寧に基礎を固めた。
第1回の全統記述模試の国語の偏差値36.7から55.7に偏差値19アップ。政経は偏差値57.5から偏差値67.3の9.2アップ。
総合では第1回の全統記述模試の偏差値48.9から偏差値56.4の7.5ポイントアップと力を大きく伸ばした。
国語、政経では偏差値60以上を超えていたので充分勝負できるところまで持っていけた。
浪人すれば早稲田は射程圏内に入るのは過去の生徒の記録を照らし合わせてもわかっていた。
国語、政経に関しては、中央大学に現役時点で対応できるレベルまで到達していたのであとは英語だけ。例年通りの環境なら十分間に合うはずだった。
コロナウイルスの影響は大きかった。ノザキ塾も生徒の安全を考えると教室を閉鎖せざるを得なかったし、浪人生は土日のいずれかは気分転換できるように計画を立てる。それも崩れた。
早稲田レベルまで到達するのに、I.S君の場合はあと120,000分程度だろうと見積もっていた。
いつもどおりなら充分間に合う数字だ。浪人生の肉体的、精神的負担は本当に大きい。本当、しんどかったね。I.S君は睡眠は常に少なかったから心配していた。
勉強で心配したことはなかった。I.S君は慎重で速度はないけれど、確実だからね。個別ミーティングでは細かいペース設定をしなければいけない生徒とは違ったからね。
ただ、現役生の頃から睡眠についてはずっと心配してきた。ずっと言ってたもんね。笑
体調が崩れてからは、本当にもどかしかったと思う。でも、I.S君はちょっとでも可能性を上げるために考え続けるということを実行してくれたよ。体調が崩れたら取り戻すのは本当に大変だからね。よく気持ちを切らなかった。
その中でできる範囲でやるというのは苦しい。勉強しなければ不安になるものだからね。今できることをそれでも冷静に見極めて、使える時間の中でベストを尽くした。
頑張るのは、変な話なんだけど簡単なんだ。でも、なぜ頑張るのか。それは志望校に行くために頑張るわけだからね。可能性を少しでも上げるときに最善な選択肢は休むしかないことというのはある。
苦しい状況の中でも、I.S君は考えてくれた。ペースを落とすのは怖かっただろうけれど、計画を実行してくれありがとう。頑張ったら、完走できなかったと思う。
夏まえから受験まで万全だったことはない。受験までたどり着けるかというなコンディションでも、今までコツコツと積み上げてきた基礎があったから、少ない時間でも演習に入ったら伸び続けた。
I.S君は記録をしっかりしてくれたからなんとかなった。毎日記録をしっかりした人はやっぱり今年も合格したよ。記録し、振り返ることはしんどい。自分の弱いところと向き合うことだしさ。
でも、記録することでしか、自分の限界はわからない。進歩もわからない。
どれくらいが適正な勉強時間でコンディションが悪くならないかわからなかったら、優先順位はつけられなかった。
万全なコンディションなら全方面の対策もできる。
でも、そうではない。制限があるなかで優先順位を考えてバランスを取るのは難しい。負担感を減らすために、ある時期は1科目だけにしたり、調整はいろいろしたけれど、それができたのもI.S君が合格最低点に到達するのに、どうすればいいかという学習計画を理解してくれたことが大きいんだよ。
記録と計画は両方ないと機能しない。
I.S君は深いレベルで私が繰り返し言って来たことを理解してくれた。ありがとうね。あの状態で夏以降続けられなかった。しんどかったね。
苦しい中でも成長したなと思ったのは、授業やるより暗記したほうがいいから授業はやめようと判断できたことだね。
これってなかなかできないことだよ。でも、僕らが現役、浪人と考え続けてやってきたことは1秒でも早く合格最低点に到達することだ。
余力はまったくなかった。でも、諦めるという選択肢はない。
そうなると、捨てるしかないんだ。どれも大事ということは、どれも大事にしていないのと同じ。
不安は大きかっただろうけれど、可能性を上げるように考え続けたね。
少しでも自分の人生を前進させようとするときに、リスクを0にすることはできない。
I.S君は優しいし、賢いよ。だから、このご時世で不安にとらわれることは多かったけど、諦めなかった。君は凄い人間だよ。
本当に粘り強くなった。諦めないというのは自分を見捨てないことだよ。頑張って、潰れてというのは、結局の所思考放棄しているように私は思うからね。
受験を乗り越えたことがI.S君の自信になってくれたなら本当に嬉しい。それならこの仕事にも意味がある。
受験を通じて大きく成長してくれた。
I.S君の162,460分は、ただの数字ではない。君が必死で前進した証だからね。しんどくなったときに進度表を見返すといいよ。I.S君はどんな状況でももう前進できるよ。この状況で踏ん張れたなら、あのときも踏ん張れたとなるからさ。
私のコメントや自分のコメントを見返すといいよ。あの時こうだったなと思い返すから。本当、大変だったよな。笑
進度表を見返してるんだけど、言葉にならない。
本当に過酷な受験だった。人生はしんどい。こんなおっさんになっても楽にはならない。笑
スマートにやれたらいいと思うけれど、生徒はみんな違う。能力は平等ではないし、環境という個人で抗えないこともある。でも、まだなんとかやってられるのはI.S君たち生徒が必死でやってくれてるからなんだよね。
どんな状況でも前進しようとすることはできる。実際に前進できなくても、前進しようと考えれば自ずと前進はできる。絶望は可能性が固定されることだと思ってるんだけど、前進しようと考えることだけでも、可能性は固定されないよ。
ずっと言ってることだけれど、それを自分以上に実践してくれたよ。ありがとうね。お母さんにもたくさん協力してもらった。使えるものは何でも使って、必死でなんとかしたと言えるね。
合格体験記、たくさん私のことを褒めてくれたけど、私の力というより、I.S君の力だよ。私の力といったほうが生徒は来るのかもしれないけど、嘘はつけない。笑
しんどかったけど、I.S君を教えるのは楽しかったよ。毎日進度表を見るのは進歩を感じられた時間だった。自分が進歩できなくなっても、生徒が進歩ができれば踏ん張れる。君らから力をもらってます。笑
ゆっくり休んで。
いい大学生活を送ってください。状況がよくなってそっちに行く機会ができたら顔見に行くからさ。
現役、浪人と162,460分ありがとう。I.S君が私から学んだ以上に私はI.Sくんから学んだよ。では、いつか、どこかで。